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仲の良い兄弟イアンとテリー。イアンは舞台女優と恋を成就させるために「お金をもっていそうな風」にしなければならなかったし、弟のテリーもギャンブルで巨額の借金を背負ってしまい、共に例によって大金持ちの叔父に泣きつくのだが・・・その叔父から逆にある危険な頼み事、すなわちある人物の「殺人」を依頼されてしまう。
もちろん・・即座に断る二人だが、そうすると、叔父からの支援はえられない。二人の未来も真っ暗・・・てなことである夜、人生最大の賭け=殺人を遂行してしまう。
兄のイアンは叔父の融資もあり、ホテル経営を開始、女優の彼女ともうまくいき万事快調な生活!でも弟のテリーは殺人の罪悪感にさいなまわれ、うつ病になり酒と薬の日々、その上自首するといいだす。この映画の最大の見せ場は人間に誰にでもある深層心理の正義と悪を兄弟の殺人後のあり方で垣間見せることにあった。二人ともそうは変わらないはずだったが、生き方はあまりに違うわけで・・そのへんが実にリアルで恐ろしい。兄弟で言い合う「全ては今ここにある」という実存的主義なニュアンスは愛すべき言葉だ。
なんのミステリアスなトリックも殺人を積み重ねるわけでもない。あるひとつの「殺人」という行為までの経過とその後の人間の本性をただ描いた映画だった。
ラストシーンのクルーザーが碇泊したマリーナの色彩が不気味。ウッディアレン恐るべし。好みでいえばスカーレットヨハンソンの「マッチポイント」が好きだが、ロンドン三部作全て楽しめました♪
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